top of page

見えないキカイ Vol,4 「火撃チ意志」

story

人は粒子でできている。彼は時折そう考える。

食べるもののために身を「粉」にし、やりきったかと思えば「灰」になる。

すっかりやる気を失い、見も心も粉になりきっている人間を、彼は放っておかない。

 

両腕にぽっかり空いた取り入れ口から人を吸い込み、中の内燃機関で「奮迅爆発」させる。

その、身を焦がす温度に正気を戻された人間は、入った口からそっと出て行く。

何事もなかったかのように、自分で立ち上がったかのように。

そうした人間が胸元に手をやると、失ったはずの熱が自分のなかで煌々と生きているのに気づくのだ。

人に形を戻してやると、彼は満足そうにどこかへ去ってしまう。

まだまだ粉になり続ける人間を探して。

 

最後までご覧くださり、ありがとうございました。

bottom of page