世界を学び始めた万象は、
窓際に寄る鳥の姿に興味を示した。
一日中図鑑を読み漁った万象は、
その夜、鳥の姿を夢見た。
太古から吹く最も柔らかい化石、
風の中を自在に泳ぎ、
上昇、下降を繰り返しながら、
目まぐるしく、新しい渦を作り出してゆく。
何物にもよらないその姿を、
万象はうらやましく思った。